新しい論文が公開されました
大阪大学 蛋白質研究所の杉木俊彦先生および大阪大学 量子情報・量子生命研究センターの根来誠先生らとの共同研究の成果が、WILEY-VCH社の国際的科学雑誌である NMR in Biomedicine に掲載されました。
抗インフルエンザプロドラッグであるファビピラビル(アビガン)の酵素反応によるホスホリボシル化反応を、経時NMRによりリアルタイムモニタリングすることに成功しました。抗ウイルスインフルエンザ薬の生体中での作用機序を解明し、新たな薬の開発に貢献できると期待されます。
論文題目:Real-time Monitoring of Enzyme-catalyzed Phosphoribosylation of Anti-influenza Prodrug Favipiravir by Time-lapse Nuclear Magnetic Resonance Spectroscopy NMR in Biomedicine, e4888 (DOI: 10.1002/nbm.4888)>リンクはこちら
新しい論文が公開されました
当研究グループの新しい論文がWILEY-VCH社の国際総合化学誌であるChemistry – A European Journal誌に掲載されました。
フェナレニルの3つの位置に酸素官能基を導入した「トリオキソフェナレニル(TOP)」のジラジカル種について、分子内での2つのラジカル電子間の相互作用を量子化学計算により調べました。その結果、TOPジラジカルは基底三重項状態にあり、J/kB ~ +1690 Kに及ぶ極めて大きな強磁性的相互作用をすると予測されました。一方、そのジラジカル種の合成を試みたところ、2つのTOP分子が2つのC-C結合を形成することで閉殻のσ型ダイマーが得られました。さらに、閉殻のσ型ダイマーの溶液状態での物性を調べたところ、2つのTOP分子が1つのO-O結合を形成することで開殻のperoxy架橋ダイマーが発生していることがわかりました。この閉殻σ型ダイマーと開殻peroxy架橋ダイマーは溶液中ではC-C/O-O結合の形成・切断を伴う平衡状態にあり、その中間体としてTOPジラジカル種が重要な役割を果たしていることが示唆されました。
論文題目:Double-σ-Bonded Close-Shell Dimers and Peroxy-Linked Open-Shell Dimer Derived from a C3 Symmetric Trioxophenalenyl Neutral Diradical Chemistry – A European Journal, 2022, 28, e202201426.(DOI: 10.1002/chem.202201426)> リンクはこちら
(2022.6.24掲載)
本論文が、Very Important Papers(VIP)に選ばれました。是非ご一読ください。
(2022.7.28更新)
論文題目:
Design and Synthesis of a C3 Symmetrical Phenalenyl Derivative with Three Oxo Groups by Regioselective Deoxygenation/Oxygenation
Organic Letters, 2022, 24, 1033-1037(DOI: 10.1021/acs.orglett.1c04227)> リンクはこちら
新しい論文が公開されました
当研究グループの新しい論文がアメリカ化学会のACS Applied Energy Materials誌に掲載されました。
安定中性ラジカルであるトリオキソトリアンギュレン(TOT)の高配向性真空蒸着膜をそのまま正極として用いて、「有機活物質100%の正極」を用いた二次電池を実現しました。真空蒸着膜におけるTOTの配向性や膜の厚さが電池性能に与える影響について詳細に調査しました。本研究成果は有機二次電池の高容量化・高エネルギー密度化、さらには簡便な電極作製法の発展に大きく寄与できると考えられます。
論文題目:
Rechargeable Batteries with 100% Cathode Active Materials–Conductive Vapor-Deposited Films of a Stable Organic Neutral Radical ACS Applied Energy Materials, 2022, 5, 1218-1225(DOI: 10.1021/acsaem.1c03574)> リンクはこちら
(2022.1.11掲載)
(2022.1.27更新)
新しい論文が公開されました
当研究グループの新しい論文がWILEY-VCH社の国際総合化学誌であるChemistry – A European Journal誌に掲載されました。
トリオキソトリアンギュレン(TOT)の分子骨格周辺にシリル基を導入した誘導体を合成し、その中性ラジカル種の基礎物性を明らかにするとともに、これを加水分解・ポリマー化してTOT骨格を細孔壁に含む多孔質有機シロキサンの合成に成功しました。この有機シロキサンは直径1ナノメートルサイズの細孔と大きな比表面積をもっていました。さらに、多孔質有機シロキサンに対して化学的および電気化学的に酸化還元反応を行うことで、細孔壁中のTOT骨格を還元種から酸化種(中性ラジカル)に可逆的に変換することができました。本研究成果は現時点では初期的な結果ですが、有機二次電池の高性能化や新たな電気化学触媒の開発に大きく寄与できると考えられます。
論文題目:
A Redox-active Microporous Organosiloxane Containing a Stable Neutral Radical, Trioxotriangulene Chemistry – A European Journal, 2022, 28, e202104447.(DOI: 10.1002/chem.202104447)> リンクはこちら