新しい論文が公開されました
当研究グループの新しい論文がアメリカ化学会の国際有機化学専門誌であるThe Journal of Organic Chemistry誌に掲載されました
トリオキソトリアンギュレン(TOT)誘導体のα位置での置換基効果を調べるため、3つのメトキシ基およびヒドロキシ基を導入した新規誘導体を設計・合成しました。フロンティア軌道のエネルギー準位および電子スピン構造に与える影響を、理論的・実験的に解明しました。さらに、分子内水素結合によりそれらが大きく影響されることも明らかにし、光吸収特性(色)や酸化還元能に与える影響も明らかにしました。非常に基礎的な研究ですが、当研究室で進めている有機二次電池や電気化学触媒、導電性材料の開発における物質開拓に重要な知見を与える研究成果です。
論文題目:
Synthesis and Physical Properties of Trioxotriangulene Having Methoxy and Hydroxy Groups at Positions: Electronic and Steric Effects of Substituent Groups and Intramolecular Hydrogen Bonds The Journal of Organic Chemistry, 2021, 86, 10154-10165(DOI: 10.1021/acs.joc.1c00880)> リンクはこちら
(2021.7.21掲載)
(2021.8.17更新)
新しい論文が公開されました
村田准教授が齋藤軍治先生(京都大学 名誉教授)らと行った研究成果がMolecular Crystals and Liquid Crystals誌に掲載されました
核酸塩基のひとつであるシトシンと電気伝導性の電荷移動錯体を与えるTTFを組み合わせた新分子を設計・合成し、その「中性ベタインラジカル」において単一成分有機固体として比較的高い電気伝導性を達成しました。また、脱プロトン化したアニオン種と中性分子が相補的水素結合によって連結したシトシン骨格の「Hemi-Deprotonated」対の結晶構造をはじめて明らかにしました。
論文題目:Cytosine-fused TTF: Conducting property of single-component betainic radical and self-assembling ability of hemi-deprotonated cytosine pair
Tsuyoshi Murata, Shogo Matsui, Gunzi Saito Molecular Crystals and Liquid Crystals, 2021, 730, 23–34.(DOI: 10.1080/15421406.2021.1946349)> リンクはこちら
当研究グループの新しい論文がWILEY-VCH社の国際総合化学誌であるChemSusChem誌に掲載されました
トリオキソトリアンギュレン(TOT)誘導体と単層カーボンナノチューブ(SWNT)を大気下で複合さたバッキーペーパー(BP)を作製し、これを正極そのものとして用いた有機二次電池としての性能調査を行いました。TOTの割合が90wt%のBPでも自立できるほどの強度と折り曲げられる柔軟性を持ち、さらにSWNTそのものと同等以上の高導電性を示しました。そのため、通常の有機二次電池では必要とされる集電体(金属箔)を使わなくても良好な充放電特性を示しました。90wt%のBPでは正極全体の初期容量が約260 mA h/g、エネルギー密度が546 W h/gとこれまでに研究された有機活物質と比べても際立って高い数値を示しました。本研究成果は有機二次電池の高容量化と簡便な電極作製法の発展に大きく寄与できると考えられます。
論文題目:
High Capacity and Energy Density Organic Lithium-Ion Battery Based on Buckypaper with Stable π-Radical ChemSusChem,2021, 14 1377–1387(DOI: 10.1002/cssc.202002851)>
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