生 態 工 学
Ecological Engineering
2DD・2DS 後期 2単位 選択
授 業 内 容
概 要 近年、環境問題が一般の人たちの強い関心を集めるようになり、
建設系の技術者もこれへの対応を迫られている。
この講義では、建設事業に際して、動物、植物、水質など自然環境への配慮を求められた場合、
どのような対処が可能か、具体的な工法を紹介する。
また、積極的に自然環境を再生しようとする事業も紹介する。
ただし、工法や事業の紹介においては、生態学を基礎とした基本的な考え方を理解することに重点を置く。
授 業 予 定
1回 生物多様性条約・温暖化防止条約−国連を中心とした環境保全の国際的な動きを学ぶ。
2回 浄化槽・下水道−環境工学の分野で最も確立した技術と考えられる汚水浄化の技術の概要を紹介する。
3回 自然水域の水質浄化機能−前回紹介した技術を補う役割を果たす推移帯(エコトーン)の浄化機能を学ぶ。
4回 ミティゲーション−開発に伴う自然環境への悪影響を緩和するための基本的な考え方を学ぶ。
5回 自然再生と順応的管理−前回の考え方から進んで、失われた自然を再生する事業とその考え方を学ぶ。
6回 ビオトープ−人工的に生物の生息場所を創出する事業の実例と現状での問題点を学ぶ。
7回 近自然河川工法−多自然型川づくりとも呼ばれる、治水・利水に加え環境にも配慮した河川工法を紹介する。
8回 河川への砂利投入・土砂バイパス−土砂移動が止められた河川で撹乱を復活させるための対策を紹介する。
9回 魚道・魚巣・ホタル護岸−魚道と生物の生息場所を提供するための護岸材料を紹介し、その問題点を考える。
10回 砂防林・河畔林・放水路・遊水地−洪水の力を弱めるための林とダムによらない治水対策の例を紹介する。
11回 屋上緑化・壁面緑化・法面緑化−都市のヒートアイランド現象を緩和するための緑化技術を紹介する。
12回 エコロード−動物のための橋など、道路建設に伴う自然の生態系への悪影響を緩和する様々な技術を学ぶ。
13回 ビオトープの連携と土地利用計画−地域計画から広くは国土計画に至るまで生態学的回廊の重要性を学ぶ。
14回 外来種導入の是非−緑化や人造ビオトープでしばしば問題となる外来種導入の是非について考える。
15回 定期試験
教科書 指定しない。
参考書 授業中に多数紹介する。
学 習 到 達 目 標
1. 自然環境に配慮した工法を採用する際、単なる小手先の対策ではなく、
生態系のしくみを理解した上でその機能を損なわない工法を判断できるようにする。
2. 技術開発が日進月歩の分野であるため、
卒業後も自学自習で継続的に技術を学ぶのに必要な基礎的知識、考え方を習得する。
授業の方法と特徴
1. 要点をしぼったわかりやすい授業
毎回の授業の初めに「よくある誤解」と「ほんとうは」と題する二つの小文を示し、
それをその回の要点としてその後具体例を示して解説する。
2. 理解の確認と復習
各回の授業の最後に用紙を配って簡単な質問をするので、その答を出席票に代えるとともに、
次回の授業で復習を兼ねて答の例を示す。
回答状況を見て受講者の理解が不十分な場合は、補足的な解説を加える。
成績評価の方法
毎回の質問への答(15回)、レポート(1回)、定期試験で評価する。成績評価の配分は、質問への答約60%、
レポート約10%、定期試験約30%とする。
また、行事参加、研究室室員、インターンシップ、学外協働実習などの活動に5点まで加算する。
授業中に私語や無断入退室などで他の学生の聴講を妨げた者は欠席扱いとする。
教員からのメッセージ
1. 授業の最後に書いてもらう質問への答は、ていねいに書いてほしい。
自分が理解したことを人に誤解なく文章で伝えることは技術者としての基本である。
2. レポートの課題は、授業中に紹介する参考書を読み、内容を要約し、感想・意見を書くことであるが、
課題に選んだ本に限らず、ほかの本も進んで読んでほしい。附属図書館にはたくさんの関連書が用意されている。
3. 授業予定の細かい変更など最新情報は、このページに掲載されるほか、
co-net.
にレポート課題など重要な指示を出すことが多いので見逃さないように。
この科目と土木工学専攻の学習・教育目標との関係
(A)社会奉仕と国際貢献を思考する技術者の育成:【5%】
(B)技術者としての責任・倫理観の育成:【5%】
(C)実践的応用能力を目指した土木専門知識と技術の育成:【10%】
(D)環境・生態系・情報技術等ソフト面の知識と技術の育成:【65%】
(E)柔軟な発想と創造力に基づく問題発見・解決能力の育成
(F)論理的思考を礎とするコミュニケ−ション能力の育成:【10%】
(G)技術者としての自主性と継続学習能力の育成:【5%】
過去の試験問題と成績
2000〜2005年度後期「土木環境工学」として
2000(試験問題とその解答例)
2001(成績)
2002(成績 昼間主、夜間主)
2003(成績 昼間主)
2004(成績 昼間主)
2005(成績 昼間主)
2006年度後期 成績
2008年度後期 成績
2009年度後期 成績
2010年度前期 成績
2013年度前期 成績
2015年度後期 レポート課題
2016年度後期 レポート課題
2017年度後期 レポート課題、答の例
2018年度後期 レポート課題
2019年度後期 レポート課題、答の例
内田臣一ホームへ戻る