生 態 学
    Ecology

2AD 後期 2単位 必修

  授 業 内 容

概  要  人が建物、道路、橋、堤防など人工構造物を建設すると、大気・水・岩石・動植物などから 成る自然環境にさまざまな影響を与える。 近年、自然環境についての社会的な理解と評価が高まり、技術者には自分がたずさわる事業が 自然環境に与える影響について基礎的な知識を持つことが求められている。 また、積極的に自然環境を再生しようとする事業も行われつつある。 この講義では、それらを理解するために必要な生態学の基礎を解説する。

授 業 予 定
1回 地球の歴史と生態系−過去の生物の活動によって作られた石炭・石油と地球温暖化との関係を解説する。
2回 人類の歴史と生態系−花粉分析から知られる古代の森林伐採など人類による生態系改変の歴史を学ぶ。
3回 個体・個体群・群集・生態系・分類群−生態学を学ぶために最低限必要な専門用語を解説する。
4回 河床礫の構造と微生息場所−河床の礫のすき間に水生昆虫など多様な小動物が生息していることを学ぶ。
5回 河川の微地形と昆虫の生息場所−砂州、瀬・淵など微地形を学び、それに対応した昆虫のすみわけを解説する。
6回 河川の微地形と魚の生息場所−魚種によるすみわけとアユの社会(群れアユとなわばりアユ)について学ぶ。
7回 河川での撹乱と生物−出水による破壊的な撹乱を好むケショウヤナギ、カワラノギクなどの生態を紹介する。
8回 昆虫の流下・遡上と魚の回遊−水生昆虫幼虫の流下と成虫の遡上飛行、アユ、サケ、ウナギなどの回遊を学ぶ。
9回 群集の生産と食物網−太陽の光エネルギーをもとにした植物の生産と動物へのエネルギーの流れを解説する。
10回 湖沼・湿地・干潟・藻場−湖沼と内湾における陸から水域への移行帯(エコトーン)の重要性を指摘する。
11回 森林の遷移と撹乱−林では長年の間には樹種が交代するのに、人がそれを止めてきた里山の自然を紹介する。
12回 生物の地域差と地史−オサムシなど地域による差が顕著な生物と地質学的な歴史との関係を紹介する。
13回 生態系の価値−漁獲など自然な生態系が人に与える便益を技術者はどのように評価すべきか考える。
14回 人による生態系の管理と復元−人間社会の中で生態学と関係する環境社会学、生態環境工学などを紹介する。
15回 定期試験

教科書 指定しない。

参考書 授業中に多数紹介する。

  学 習 到 達 目 標

1. 自然環境の成り立ちについて様々な時間スケール・空間スケールで考え、 自然を近視眼的・短絡的に見ない態度を身につける。

2. 人間活動による自然環境への広汎かつ多様な影響の一端を知り、 建設系の技術者にとって生態学の知識が重要であることを十分に認識する。

  授業の方法と特徴

1. 要点をしぼったわかりやすい授業
毎回の授業の初めに「よくある誤解」と「ほんとうは」と題する二つの小文を示し、 それをその回の要点としてその後具体例を示して解説する。

2. 理解の確認と復習
各回の授業の最後に用紙を配って簡単な質問をするので、その答を出席票に代えるとともに、 次回の授業で復習を兼ねて答の例を示す。 さらにその用紙を使って自宅での再復習を課す。

  成績評価の方法

毎回の質問への答(4点×15回=60点)、レポート(8点1回)、定期試験(32点)で評価する。 また、学外協働実習、研究室の行事、大学祭実行委員、建設総合実習の指導員など、 自発的な活動に参加した者へ1時間1点程度、最大5点まで加点する。 また、欠席5回以上、あるいはレポート未提出の者は、失格(Q評価)とする。

クラブ活動の試合、忌引、病欠、交通事故などやむを得ない理由による欠席は、公欠扱いとし、 定期試験の際に、欠席した回の質問用紙に回答すれば、4点満点で採点し、得点に加える。 ただし、所定の書類や証拠となる書面を提出あるいは提示すること。 これに対して、4年生の就職活動に伴う欠席は公欠扱いとはしない。

  教員からのメッセージ

1. 授業の最後に書いてもらう質問への答は、ていねいに書いてほしい。 自分が理解したことを人に誤解なく文章で伝えることは技術者としての基本である。

2. レポートの課題は、授業中に紹介する参考書を読み、内容を要約し、感想・意見を書くことであるが、 課題に選んだ本に限らず、ほかの本も進んで読んでほしい。 附属図書館にはたくさんの生態学書が用意されている。

3. 授業予定の細かい変更など最新情報は、このページに掲載されるほか、 co-net. にレポート課題など重要な指示を出すことが多いので見逃さないように。

この科目と土木工学専攻の学習・教育目標との関係
(A)社会奉仕と国際貢献を思考する技術者の育成:【5%】
(B)技術者としての責任・倫理観の育成:【5%】
(C)実践的応用能力を目指した土木専門知識と技術の育成:【5%】
(D)環境・生態系・情報技術等ソフト面の知識と技術の育成:【70%】
(E)柔軟な発想と創造力に基づく問題発見・解決能力の育成
(F)論理的思考を礎とするコミュニケ−ション能力の育成:【10%】
(G)技術者としての自主性と継続学習能力の育成:【5%】

  過去の試験問題と成績

  • 2000〜2003年前期 「自然生態学」として

  •    2000(試験問題その解答例
       2001(試験問題成績
       2002 成績(昼間主夜間主
       2003 成績(昼間主夜間主
  • 2004年前期 成績(昼間主
  • 2005年前期 試験問題その解答例成績(2AS, 3DG)
  • 2006年前期 成績と試験解答(3AD, 2AS
  • 2007年前期 成績
  • 2009年前期 成績
  • 2009年後期 成績
  • 2011年後期 成績
  • 2012年後期 レポート課題




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