愛知工業大学 機械学科　流体工学研究室　（江上研究室）

研究内容

本研究室では，以下の内容の研究を行っています．
1. 光学的な機能性分子センサーである，感圧塗料(PSP: Pressure Sensitive Paint)と感温塗料(TSP: Temperature Sensitive Paint)の研究
２．新幹線などの空力騒音の低減に関する研究

感圧塗料(PSP: Pressure Sensitive Paint)

感圧塗料は模型表面の圧力分布を，光学的に非接触，非侵襲かつ高空間分解能で測定することができる二次元分子イメージング計測方法．
感圧塗料は，圧力変化を蛍光物質の光化学反応（酸素消光）に基づく発光強度変化（または発光寿命の変化）として捉えるセンサである．

高速応答PSP

近年，非定常計測を行うためにPSPの時間応答性を向上させる研究が盛んになされている．本研究室では，陽極酸化型PSP(AA-PSP)，スプレー型高速応答感圧塗料(iPSP)(感圧色素：PtTFPPまたはRu(dpp)3)の高速応答PSPを開発している．
○ AA-PSP(0.5µs～10µs）
○ PtTFPP-iPSP (4µs～20µs)
○ Ru(dpp)3-iPSP (2µs～10µs)

• Y. Egami, A. Hasegawa, Y. Matsuda, T. Ikami, H. Nagai, "Ruthenium-based fast-responding pressure-sensitive paint for measuring small pressure fluctuation in low-speed flow field", Measurement Science and Technology, Vol.32, No.2,(2021), 024003 (13pp). https://doi.org/10.1088/1361-6501/abb916

• 山﨑 遊野，山口 翔梧，江上 泰広，「Poly(TMSP)を用いた低温度感度高速応答PSPの開発」，日本機械学会論文集，Vol.85,No.879, (2019), p.19-00266 https://doi.org/10.1299/transjsme.19-00266

• Y. Egami, S. Konishi, Y.Sato, Y. Matsuda, "Effects of solvents for luminophore on dynamic and static characteristics of sprayable polymer/ceramic pressure-sensitive paint", Sensors and Actuators A: Physical, Vol.286, (2019.01), P.188-194. https://doi.org/10.1016/j.sna.2018.12.034

• Y. Egami, Y. Sato, and S. Konishi, "Development of Sprayable Pressure-Sensitive Paint with a Response Time of Less Than 10  µs", AIAA Journal, online first (2019.01) https://doi.org/10.2514/1.J057434

• Y. Egami, A. Hasegawa, Y. Matsuda, T. Ikami, H. Nagai, "Ruthenium-based fast-responding pressure-sensitive paint for measuring small pressure fluctuation in low-speed flow field", Measurement Science and Technology, Vol.32, No.2,(2021), 024003 (13pp).https://doi.org/10.1088/1361-6501/abb916

感温塗料(TSP: Temperature Sensitive Paint)

感温塗料(Temperature Sensitive Paint: TSP)は蛍光物質の薄膜を模型表面に形成したものである．蛍光は光を吸収して励起した化学物質の分子が、基底状態に戻る際に，より長波長の光を放射する現象であり，一般に温度が上昇すると振動や衝突によって励起分子は無輻射で基底状態に落ちるので，蛍光強度は低下する. この現象を温度消光と呼び，ある温度域で急激に蛍光強度が変化する．この性質を利用して蛍光強度の測定値から物体表面の温度分布を非侵襲に測定することができる．

複合PSP/TSP

プリンタを用いて複合PSP/TSPの作成を行っている．
PSPとTSPは混合して塗布すると色素間干渉を起こしてしまう．そのため，物理手的に接触しないようにプリンタを用いて微細に塗り分けることで理想的な複合PSPを作成する事ができる．

• Y. Egami, J. Ueyama, S. Furukawa, T. Kameya, Y. Matsuda, H. Yamaguchi, T. Niimi, "Development of fast response bi-luminophore pressure-sensitive paint by means of inkjet printing technique", Measurement Science and Technology, Vol.26 (2015) 064004 (8pp).
  https://doi.org/10.1088/0957-0233/26/6/064004

• 江上泰広，大月湧暉，角谷勇輔，丹羽圭祐(愛知工大)，松田佑，「インクジェットプリンタを利用したPSP・TSP複合センサの開発」, 第56回飛行機シンポジウム，山形市，(2018.11),1D08.

• 江上 泰広，浜田大地，龍頭 幸彦，「シルクスクリーンを用いて作成した高速応答2色PSPに関する研究」，第49回可視化情報シンポジウム，慶應義塾大学日吉キャンパス(オンライン), (2021.09),P4

新幹線などの空力騒音の低減

騒音は速度の6乗から８乗に比例して増加することが知られている．
そのため，新幹線をはじめとする高速列車では，パンタグラフなどからの空力騒音がネックとなって，営業速度を容易に上げることができない．そのため，いかにこれらの装置からの空力騒音を低減するかが重要な課題となっている．本研究では，これらの問題に対して実験的手法で取り組んでいる．

卒業・修士論文

2023年度

修士論文

• 松村優志，「色素間の光化学的干渉や光劣化を低減した複合高速応答PSPの開発」
• 堀江広夢，「低温風洞に適用可能な様々な高速応答PSPの特性調査」

卒業論文

• 下山祐生，永井翔哉，「有機蛍光体であるBMeS-p-A を用いた光安定性に優れた２色混合PSPの開発」
• 荒木僚太，上谷尚矢，「感圧塗料を用いた高感度水中溶存酸素センサーの開発」
• 岡本侑也，松下えり，「低温風洞におけるピレン誘導体を用いたAA-PSPの開発」
• 富田凌平，村上隆太，「温度と励起光を同時計測する2色感温塗料の開発」
• 辻大輝，好井徳宏，「ベイズ最適化による2色PSPの最適化に関する研究」
• 鬼頭凌太，清田悠生，「蛍光色素を用いた溶液中のCO2濃度計測法の開発」

2022年度

卒業論文

• 加藤祐人，柴田蒼生，「低温風洞を想定した高速応答PSPの開発」
• 中村旬介，橋本和明，平野巧真，「無機蛍光体を用いた高温域での2色混合の特性調査」
• 北岡 未羽，横井七奈実，「感圧塗料を用いた微小変動圧力の差分計測法の精度の向上」
• 小鹿一飛，藤野将悟，「2色PSPの色素間干渉調査」

2021年度

卒業論文

• 寺坂 雄大，堀江 広夢，「感圧塗料を用いた微小変動圧力の差分計測法の開発」
• 五十嵐 衡，津坂 直弥, 「自動塗布装置を用いた発光寿命分布変化の原因調査」
• 中村 昂暉，宮島 啓介, 「ルテニウム錯体とフルオレセインを用いた2色混合PSPの特性調査」
• 石田 悠貴，稲吉 拓実, 「様々な構造の２色PSPの特性の比較」
• 藤吉 皐太郎，「数理最適化手法による感圧塗料画像のノイズ低減効果に関する研究」
• 柴田 碧人，松村 優志，「無機蛍光体を用いた高温度域用の感温塗料の調査」

2020年度

修士論文

• 鈴木 有敏，「複合高速応答PSPの開発及び特性評価」
• 田中 睦輝，「電気化学発光セルを用いた電気励起式PSPの開発及び特性調査」
• 堀 尚人，「高速応答感圧塗料の寿命法計測における発光寿命分布の非一様性について」

卒業論文

• 太田 晃史郎，水谷 圭佑，「一液型高速応答PSPにおけるスプレー塗装法の発光寿命への影響」
• 伊藤 淳也，「異なる酸素濃度における高速応答PSPの特性調査」
• 瀧澤 匡， 渡邉 早紀，「感圧塗料を用いた微差圧計測法の開発」
• 浜田 大地，龍頭 幸彦，「スクリーン印刷法による2色PSPの塗分けとその特性の調査」
• 鈴木 魁人，水野 皓稀，「電気励起式　LEC-PSPの発光層の最適化に関する研究」
• 高橋 侑也，「水溶性ポリマを用いた2色PSPのための感温塗料の調査」
• 江端 雅人，柴田 直樹，「ルテニウム錯体を用いた高速応答2色PSP の開発及び評価」

2019年度

修士論文

• 山口 翔梧，「⾼速応答PSPのバインダ層構造がPSP特性へ与える影響に関する研究」
• 山﨑 遊野，「⾼速応答感圧塗料の寿命法計測における誤差要因の究明」

卒業論文

• 山田 紘輝，「酸化チタンの表面処理がルテニウム型PSPの特性に及ぼす影響の研究」
• 普天間 皇太，「シリカ粒子を使用したルテニウム型高速応答PSPの特性調査」
• 今枝 祐貴，「水溶性ポリマを用いた高速応答PSPの特性調査」
• 山崎 美紅，「高速応答PSPに適した水溶性白下地の開発」
• 加藤 亘，「電気励起式LEC-PSPの発光強度，発光時間向上に関する研究」
• 宮本 崇志，「多孔質材料をバインダとしたイオン液体型PSPの研究」
• 福田隼介，「温度分布を用いたオプティカルフロー法による表面摩擦力計測」
• 森重聡一郎，「固有直交分解と動的モード分解を用いた感圧塗料のノイズ低減に関する研究」
• 綾部猛史，林大晟，「感圧塗料を用いたオイル中の溶存空気量の面計測法の研究」

2018年度

修士論文

• 谷川　和克，　「発光電気化学セル型PSPの開発及び特性調査」
• 長谷川　敦也，「低表面粗さと高付着性のスプレー型高速応答PSPの開発」

卒業論文

• 佐藤謙真郎，堀尚人，「感圧塗料の発光寿命の誤差要因に関する研究」
• 岡村賢吾，千名佑吾，「色素濃度が高速応答PSP特性に及ぼす影響」
• 市原一輝，鈴木有敏，「高速応答かつ高付着性をもつPSPのバインダ構造に関する研究」
• 加藤亮二，所美鈴，　「感圧塗料を用いたオイル中の溶存酸素濃度計測について」
• 角谷勇輔，丹羽圭祐，「市販インクジェットプリンタを用いたPSP,TSP複合センサの開発」
• 田中睦輝，原田莞爾，「電気励起式LEC-PSPの開発-LECの特性調査」

2017年度

修士論文

• 大月湧暉，「インクジェット型PSPにおける色素分散が特性に及ぼす影響に関する研究」
• 小倉弘也，「色素にルテニウム錯体を用いた高速応答PSPに関する研究」

卒業論文

• 杉浦雄大，牧野憲, 「市販プリンターに適したPSPフィルムの開発」
• 長谷川涼哉，松下翔，「感圧塗料の発光寿命の一様性に関する研究」
• 小池達大，佐原優一，「脂肪酸を用いたAA-PSPの温度感度低減に関する研究」
• 山口翔梧，山崎遊野，「低温度感度高速応答PSPの発光強度及び応答性の向上」
• 石原吉将，近藤大介，「ルテニウム錯体を用いた高速応答PSPの発光強度の向上」
• 猪嶋恭平，白川銀治，「発光電気化学セルを用いた高輝度PSPの開発」

2016年度

修士論文

• 飯田浩二，「_AA-PSPの陽極酸化条件による特性変化とその実証試験への適用」
• 加藤優太，「移動/変形する模型のTSP/PSP計測における照度補正法の開発」
• 佐藤優大，「ピレン誘導体とルテニウム錯体を用いたスプレー型iPSPに関する研究」

卒業論文

• 谷川和克，山崎壮登，「硫酸浴AA-PSPの特性の系統的研究」
• 福住拓也，夏堀亜衣，「白下地によるスプレー型高速応答PSPの発光強度の向上」
• 濱口大志，濱島雅直，「スプレー型低温度感度PSPの開発」
• 水野雄貴，渡邊峻之，「色素濃度によるPSPドット形成と特性の変化」
• 友永聖也， 長谷川敦也，「PSPを用いた表面摩擦力の計測に関する研究」
• 山田恭平，「動的モード分解（DMD）を用いた感圧塗料のノイズ低減に関する研究」

2015年度

修士論文

• 奥谷太賀，「陽極酸化型PSPの孔径による特性変化」
• 永井優大，「インクジェット装置によるフィルム型複合PSPの開発」

卒業論文

• 清水祐弥，山下耕平，「PC-PSPの粒子・溶媒による特性への影響」
• 長澤　明，水谷俊介，「インクジェット塗布によるドット型複合PSPフィルムの開発」
• 小倉弘也，吉村　淳，「PSP・TSPの位置補正に関する画像処理技術の研究」
• 大黒　仁，神谷太紀，「陽極酸化型PSPの作製方法と特性変化について」
• 本多　航，「感圧・感温塗料特性への湿度の影響に関する研究」
• 大月湧暉，「湿度環境の違いよる蛍光寿命特性の変化に関する研究」
• 栗田達也，「特異値分解(SVD)を用いた感圧塗料のノイズ低減に関する研究」

2014年度

修士論文

• 小西翔太，「ポリマー型感圧塗料の応答性向上と特性調査に関する研究」
• 杉村幸寿，「ポリマー型ZAIS感温塗料の特性評価と蛍光寿命計測」
• 古川聖，「PySO3Hを用いた陽極酸化型マイクロドット感圧センサの開発」

卒業論文

• 加藤優太，安田裕貴，「3Dプリンタモデル・クレイモデルへの感圧・感温塗料の適用」
• 佐藤優大，山本真也，「PC-PSPの高速応答性向上に関する研究」
• 磯貝清也，小林大二郎，「陽極酸化型PSPにおける高速応答及び特性に関する研究」
• 鬼頭佑季，平松慶次郎，「フィルムを用いたドット型複合PSPの開発」
• 浅見友哉，原利英，「感温塗料における蛍光寿命特性に関する研究」

2013年度

修士論文

• 上山淳一，「高速応答性マイクロドット感圧・感温センサの開発」
• 大橋伸也，「高速応答性感圧塗料における陽極酸化条件の最適化」

卒業論文

• 角岡徹，李迎新，「色素濃度及びポリマーによる感温塗料の特性変化に関する研究」
• 大矢悠生，浅野弘基，「高速応答陽極酸化被膜の作製条件の最適化に関する研究」
• 永井智規，永井優大，「ニードル式ディスペンサによるドット型複合PSPの開発」
• 奥谷太賀，白井智也，「インクジェットを用いたマイクロドット型複合AA-PSPの開発」
• 藤本捺暉，福島浩貴，「粒子混合型PSPの高速応答性向上に関する研究」
• 大石浩基，瀧亮介，「シングルアーム型パンタグラフ形状による騒音低減効果の研究」

2012年度

卒業論文

• 浅野拓磨, 加藤 宏幸，「CCDカメラを用いた物体変形移動量の計測」
• 小久保 宏章，加藤駿，「ポリマー・バインダーによるTSP（感温塗料）特性への影響に関する研究」
• 神澤 優一，古川 聖，「インクジェットを用いたマイクロドット型感圧センサの開発」
• 川上弘樹，村田悠斗，「シングルアーム型パンタグラフの空力特性に関する研究」
• 小西翔太，横井竜一，「添加剤が及ぼす感温塗料の熱伝導への影響」
• 杉村幸寿，小切間貞之，「水中用感温塗料による温度分布の計測と流れの可視化」
  　　

2011年度

卒業論文

• 伊藤弘正, 鈴木孝至, 「シングルアーム型パンタグラフの騒音軽減に関する研究」
• 高木伸之助, 山岡大輝, 「ポリマーの感温塗料特性に及ぼす影響に関する研究」
• 高木俊希，藤井昴樹，「感圧塗料における模型材料，塗装の温度誤差に及ぼす影響に関する研究」
• 田中将浩，山上陽一郎，「ポリスチレン系ポリマーを用いたTSPの特性評価に関する研究」
• 西田和也，春田傑，「感圧塗料の高速応答性評価試験装置の開発に関する研究」
• 林紘也，宮崎洋行，「感圧・感温複合塗料における色素濃度の及ぼす影響に関する研究」

2010年度

卒業論文

• 長尾吉晃，荒川和之，鈴木裕太，「ポリマーによる感温塗料の特性-変化に関する研究」
• 尾崎太平，北村公平，「水中用感温塗料の開発に関する研究」
• 辰己雄介，外山高由，「感圧塗料計測における模型材料の温度誤差に及ぼす影響に関する研究」