(9)どんどの滝のおはなし

〔どんどの滝 (どんどんの滝)〕
 昔、五井に水田がたくさんあった頃のお話です。水の少ない五井では、池からの水をうまく五井じゅうの田んぼへ引けるように水路が造られていました。その一部が古道の当たりを通っていました。跳ね坂あたりは急な坂になっています。だから川も同じで、五井の跳ね坂のすぐ東側に滝がありました。
 夜になって、あたりがシーンと静まりかえってくると「どんどん、どんど」と太鼓をたたくような音が聞こえます。それは夜の中をこだまして、早起き鳥が鳴くまで続きます。水が波になって落ちていくその音は、山のたぬきが一斉に腹つづみを打っているようにも聞こえます。
 いつも夜が来ると滝のあたりから「どんどん、どんど」と不思議な音が聞こえてくるのでいつのまにかこの滝を「どんどの滝」と呼ぶようになったということです。
ここを舞台として、「どんどのたぬき」の物語が展開します。

(注)残念ながら、現在この滝は残っていません。カーブをつけた坂になっているので、おおよその場所は想像できます。耳を澄ませば「どんどん」と響く音が聞こえるかもしれません。

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