五井のおはなし知ってますか
(「五井を知ってますか」続編)
続編まえがき(ホームページ版)
古くからひとびとが住んでいた土地には、とってもいい話がたくさんあります。それは、人間がことばを持った生き物だからです。お話で生活の知恵やルールを子孫に伝えてきたからです。親から子へ、子から孫・ひ孫へと語り継がれてきました。いろり端で、おじいちゃんやおばあちゃんのひざにだっこされて聞いた…。そんな話を集めてみました。
だから、いつの間にか、お話は少しずつ変わっていきます。その家々にあわせて、その時代にあわせて。一つの話がいく筋にも分かれていきます。そのすべてが正しくすばらしい。お話は今も生き続けています。
浦島伝説が日本中にあるように、遠い地方にある伝説や民話と類似したお話しも出てきます。それがまた面白く、五井の説話誕生のルーツに、想像をかきたてられます。同じ話が、それぞれの地方で独立して発展し語り継がれて行くのは、文化の伝承の面からたいへん重要です。私がこの地でめぐりあったお話しを、できるだけそのままの形でお伝えできれば幸いです。
本当は、活字にしてしまってはいけないのかもしれません。でも今は、親である私もお話を知りません。今も昔話を知っている語り部(かたりべ:お話をして内容を伝える人)にお尋ねしてみようと思います。
このホームページ版は、出版予定の本の一部を紹介するものです。
愛知県蒲郡市五井町(がまごおりしごいちょう)のこと。三河湾国定公園の一部です。海岸線から約2km、背後には蒲郡で一番高い五井山(ごいさん:標高454.2m)がそびえています。南北を海と山に囲まれた海洋性気候の町で、有名な「がまごおりみかん」の主産地のひとつです。
五井にはかつて多くの古墳が存在し、古くから人々が住み着いていたことがわかります。残念なことにその多くは破壊されてしまいましたが、今も少しは残っています。田舎の小さな町の割には、歴史のある寺社仏閣も多く現存します。この地が、昔は重要拠点だったことを物語っています。
このような理由で、五井には昔話が多いはずです。このようなローカルなお話しは、土地の事物との結び付きが強く、場所の雰囲気を知ってお話しを聞くことで、作品に対する味わいが深まると思います。しかしながら、五井を知らない方には、想像しにくいと思います。興味がある時は、巻頭の「五井を知ってますか」を見てください。写真入りで五井の歴史、地理、現在の生活、およびそれらの考察、その他百科事典的にまとめてあります。