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ホーリーへッドの徹夜祭


合唱、徹夜祭

歌を歌う伝統(Cymanfa Ganu:Hymn Singing}

南ウェールズの炭坑夫の家族を描いた映画「我谷は緑なりき」はその随所に炭坑夫たちの美しい合唱がちりばめられている。このウェールズ人の歌好きは、古来からのものと一般には信じられている。確かに12世紀末、ウェールズを旅したギラルダス・カンブレンシス(Giraldus Cambrensis),通称ウェールズのジェラルドは、『ウェールズ素描』で、ウェールズ人が単一の斉唱ではなく、多声部からなる合唱で歌を歌うことができると記している。ウェールズ人は子供でも合唱ができるし、赤子も泣き叫ぶ時期が終わればとたんに歌い出す、と彼は書いている。そのために合唱はウェールズ人の古来からの伝統と考えられがちであるが、実はこれは一つには、19世紀ウェールズの産業革命がもたらした歪みの一環なのである。

産業革命時のウェールズには人口が急激に増え、炭坑や製鉄所の村は不衛生となり、コレラを蔓延させた。そのような劣悪な環境のなかで、特に飲み水の問題が深刻化した。その解決方法として人々は水の変わりにビールを飲んだ。カルヴァン派メソジスト教会は禁酒を奨励していたが、労働者をビールから離すための禁酒運動の一環として「合唱」を奨励した結果、この新しい伝統が生まれたのであった。

マヴァニュイのメロディーが聴けます(myfanwy) 映画「我谷は緑なりき」で「テーマソング」のように歌われたジョセフ・パリー作曲のウェールズの有名な曲

徹夜祭

その一方でウェールズに古来からあった「グウィルマーブサンタイ」と呼ばれる宗教と飲酒が合体した「徹夜祭」の風習は、道徳に厳しいカルヴァン主義メソジスト教会の牧師から非難され、ウェールズの生活から消えていった。俗に、カルヴァン主義メソジスト教会が、ウェールズの古来からののんきさ、陽気さを奪ってしまったと言われているが、これは主としてこの様な理由による。


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