Violoncello
床に置いて弾く楽器、エンドピンで楽器を支え床に響かせて音を鳴らす楽器。これがチェロである。
ヴァイオリンとヴィオラの大きさの差とは比べ物にならないほど巨大になったヴァイオリン族最大の楽器。
そもそも低音をしっかりならすには、管にしろ弦にしろ、楽器自体の大きさがある程度必要。
大きくなるほど発音は悪くなるが、響きはよくなる。ヴィオラが発音も響きも器用貧乏に取った楽器なら、
こちらは潔く発音を捨て響きを取りに来た楽器。
音域はヴィオラと同じくC・G・D・Aが左手を使わない状態で弾くと鳴る。
しかしヴィオラの丁度1オクターブ下の音程だ。
が、構造上、上2つの肩楽器と比べて高い音域まで出やすいので(もちろんそれなりに熟練は必要だが)
ヴィオラ音域程度の旋律はすべてこちらが持ってゆく。
こちらの方が音量も出るのだ。なりより低音の響きがよい。
チェロは伴奏、それもバスの役割を果たす上でも
「音量」「響き」「音域」すべてにおいて十分過ぎるほどの性能を持っている。つまり伴奏楽器として申し分ないということだ。
それに加えて旋律や対旋律を任させることも多い。
チェロに回ってくる旋律が、ヴァイオリンの弾く旋律よりも
おいしくて美しい旋律であることは実は少なくないことは以前書いた通りだ。
その役回りは実はオケで一番おいしいんじゃないかと言われるくらい。
音色は中低音の非常にきれいな音がする。
ヴァイオリンの音色が滝のように上から下へ流れるようなイメージなら、
こちらは逆行。重力に逆らって昇る龍のようなイメージ。
ベースと同じ音域を出し、ヴィオラと同じ音域をも出せ、さらに音色が最高といえば
もうこの2つの楽器はいらないんじゃないかと思うくらいだ。
音色、音域、音量、あらゆる点で優れており、奏者次第で無限の可能性が開ける楽器。
そんなチェロといえばやはりブラームス様。
3番3楽章を是非聞いてほしい。
ブラームスにしては旋律的なこの楽章。主題を何度も繰りかえすだけの単純な構造だが、とにかく美しい。
特に頭のチェロがもうなんとも言えない。
またピアノ協奏曲第2番3楽章はピアノ協奏曲にも関わらずチェロが独奏で主題提示をする。
あまりにも甘やかで美しいという言葉すらも浅はかなブラームス・・・・
誰もが羨むこのチェロ、
しかし当然高い技術が求められる楽器でもある。
2人の後輩にはどうしても重過ぎる期待が掛けられてしまう。
加えて新たに入部した1年生。センスもやる気もかなり感じる。
上手くなることを切実に切実に願う。
期待に応えてほしいものだ。