Percussion
パーカッション、打楽器のことである。
「俺はトライアングルなら出来るよ〜」や「シンバルくらいなら出来るんじゃね?」などという言葉がいかに非常識で、
見当違いな言葉であるかは以前書いたとおりである。
そう、打楽器のあの音を出す為に一体どれほど叩き続けているか、
楽譜上のその一瞬に音を出すことが一体どれほどの技術を求められるか、
”叩く”という単純な作業だからこそごまかしがまったくきかず、ごまかしがきかないということは本当に上手くないと通用しないということ。
あぁ、しのごの言ってないでとりあえずそんな言葉を吐く人間には「じゃあやってみ?」と言いたくなる。
さて、打楽器といえば音程はもちろんなく、リズムのみで音楽を作る。
しかしそこに革命的な存在がある。ティンパニである。
ティンパニは打楽器であるにも関わらず”音程”が存在する。ようするに打楽器だけで音楽を作れるのだ。
そもそも打楽器とはその存在自体が格が違う。いくらホルンやトロンボーンが破壊的な音量を出せるといっても所詮は管楽器。
叩くことで音がなる打楽器にはインパクトや音量、発音などは遙かに劣る。
(もちろん運動性や音域などは管楽器と比べるものではないが・・・・)
なので音程をも取れるティンパニはまさにオケにとっては最終兵器。
ティンパニのみで音楽の基盤を作ってしまうことが可能なのである。
故に打楽器には常に”完璧な拍取り”が絶対条件となる。
ティンパニは別名「第二の指揮者」
こいつがテンポを誘拐しだしたら、もう指揮者にもコンマスにも救済の手立てはない。大人しく要求を呑むほかないのである。
コントラバスが拍を作りながら音楽下から支えるならば、
こっちは正拍から細かいリズムまでをこなすことで上からオケ全体にリズムを提示する。
そして、上記した通り打楽器は音量だけでなくその存在そのものがケタ違い。
あぁ圧倒的に圧倒的。ロールを叩けばたちまちffが響き、少しゆっくり叩けば全体にritがかかる。
正拍を叩けばそれはマーチとなり、三連を叩けば音楽の加速は止まらない。
そんな打楽器であるが、実は合奏中に奏者が他のどの楽器とくらべても一番楽しそうに弾いている(叩いている)のが印象的である。
またあらゆるシンフォニーにおいても、コーダの締めの役割はやはり打楽器ありき、だろう。
最近のオススメ、ドヴォルジャーク第一番「ズロニツェの鐘」のスケルツォ楽章のティンパニもまた圧巻だ。
シンフォニー終始通してまさにティンパニが音楽を支配している典型であろう。
そんな打楽器の近況報告もこれでホントに本当に最終章。
まず存じティンパニのお姉さんは5度目の慰問をも終えついに引退。
本人曰く、わざわざ部室に行かなくても大丈夫とか(羨ましいw)
一方後輩君は本当の意味でのレベルアップを求められる時期がやってきた。
安定感と高い技術を持った安心出来る叩き屋となってくれることを期待する。
打楽器の未来、それはおそらく変ホ長調のように明るく幸せなものが待っているのではないだろうか(ホント羨ましい。
一歩間違えればハ短調にもホ短調にも簡単に転調できることをお忘れなくw)