最終更新日: 2024/04/01
Topics
2024年度(DS研第6期)が始まりました
2024年度は,過去最大の学生15名(修士3名,学部12名)の体制で,FPGA や計算機システム,教育システムに関する研究を進めます.2023年度まで JSPS 科研費の支援を頂いて研究開発を進めてきた FPGA リモコンシステムことディジタル回路の「さわれる」遠隔学習システムは,まもなく一般利用も可能になる見込みです.今後も学生と協力しながら,積極的な研究成果の発表・公開を行っていきます.
2024/04/01
2024年度(DS研第6期)卒研配属の情報を追加しました
いつまでも暑い日が続いたせいで実感があまりないのですが,来年度の卒業研究に向けた配属調整の時期がやってきました.今年度の研究室見学について,アクセスの項に情報を掲載しました.本ページの研究紹介や指導方針も併せて参考にしてください.
2023/10/23
DS研第4期卒業生の卒論の内容を含む論文が国際会議に採録されました
このたび,DS研第4期卒業生の奥地さんの卒業研究の内容を含む,FPGA リモコンシステムの設計と実装について述べた論文「A Novel Remote FPGA Lab Platform Using MCU-based Controller Board」が,国際会議 12th International Conference on Teaching, Assessment and Learning for Engineering (TALE 2023) に採録されることになりました.工学教育に関するアジア太平洋地域の国際会議です.今後も,研究活動を通じて得られた成果は積極的に外部発表を進めていきます.
なお,本研究の一部は JSPS 科研費の支援により実施しております.
2023/09/13
これ以前のトピック(2023年度,2022年度,2021年度,2020年度)
研究紹介
ディジタルシステム研究室では,主に FPGA を利用した計算機システム・専用計算回路の設計と応用について研究を行っています.また,セキュリティのためのハードウェア技術や,ディジタル回路の教育インフラストラクチャについても扱っています.
時には,学生さんからの持ち込みテーマを受け入れることもあります.2020~2021年度は,学生さんからそれぞれ1テーマを受け入れました.研究としてある程度以上の新規性・有効性が主張できる必要がありますから,具体的な方針のすり合わせはディスカッションを通じて行うことになります.
専用計算回路およびシステム
FPGA を使い,特定の計算を高速化する回路や小面積で実現できる回路を設計・実装・評価します.時には,既存の方法にとらわれない新しい計算パラダイムを用いることもあります.
現在は FPGA とプロセッサがワンチップ化された SoC(システムオンチップ)も広く使われるようになりました.この場合,大部分の処理はソフトウェアに任せておいて,ハードウェアにやらせた方が都合の良い処理(高速・低電力化できる処理,継続的に行う処理など)だけをハードウェア化する場合も多いです.
こう聞くと VHDL などのハードウェア記述言語(HDL)でゴリゴリに回路記述を書くことをイメージしてしまいますが,最近は C/C++ 言語でハードウェアを記述する(高位合成を用いた)設計も,しばしば利用しています.適切な記述をすれば,HDL での設計と遜色ない性能の回路を,短期間で設計できます.良い時代です.
また,作った回路をシステムの上で動作させるには,当然ソフトウェアも必要です.このときのソフトウェアは C 言語で記述するのが一般的でしたが,今は Python を使用することが増えました.FPGA 上の回路を Python から 制御できるプラットフォームが提供されているためです.良い時代です.
セキュリティのためのハードウェア技術
ソフトウェアやシステムを守るために,プロセッサに特別な機構を追加したものを,セキュアプロセッサといいます.特に,FPGA との親和性を考慮して,多様化,ランダム化に基づく方式を検討し,実装・評価しています.これらも含めたプロセッサに関する研究では,オープン・アーキテクチャである RISC-V を主な実装・評価のベースとしています.
また,セキュリティの向上には,予測不可能な乱数を生成することが重要です.こうした乱数を作る機構(真性乱数生成器)には様々な手法が用いられますが,本研究室では,ディジタル回路の素子をいわば意図的に誤動作させることで乱数を生成する手法をいくつか提案してきました.現在は,そうして作られた真性乱数生成器を,システムで扱いやすくするための研究開発を進めています.
ディジタル回路の教育インフラ
プログラミングを手軽に演習できる枠組みは世の中にたくさんありますが,ディジタル回路についてはそう多くありません.ディジタル回路,あるいはハードウェア記述言語(HDL)を,手軽にわかりやすく習得するための枠組みについても研究しています.学内で実際に講義や実験に活用するという形で,その成果のフィードバックを試みています.本学「ディジタル回路2」の講義で使用しているフロントエンドツール GGFront もその1つです.
こうした枠組みでユーザが使用するツールは,ユーザにとっての扱いやすさが重要です.そのため,その開発は GUI を用いたアプリケーションのプログラミングが主体となります.Windows 向けのツールであれば C# + WPF,インタラクティブ性を求めるなら C# + Unity,Webブラウザ上での動作が目的なら JavaScript + 各種ライブラリというように,用途に応じて様々な手段を使っています.
研究室メンバー
研究テーマの欄は,研究の進行状況に応じて更新されます.
2022年度以前の卒業生については,卒業生の一覧ページをご参照ください.
2024年度(DS研第6期)
修士2年1名 + 修士1年2名 + 学部4年12名 = 計15名
学年・職名 | 名前 | 研究テーマ |
---|---|---|
准教授 | 藤枝 直輝 | (研究紹介を参照) |
修士2年 | 杉山 皓星 | ソフトプロセッサの相互検証手法 |
修士1年 | 天野 雄太 | 初学者向けディジタル回路学習システム関係 |
修士1年 | 瀬戸 大暉 | FPGA によるストカスティック演算回路関係 |
学部4年 | 岩尾 奏汰 | TBD |
学部4年 | 上坂 侑己 | TBD |
学部4年 | 神谷 賢吾 | TBD |
学部4年 | 苅谷 祥 | TBD |
学部4年 | 倉地 真輝 | TBD |
学部4年 | 澤村 侑汰 | TBD |
学部4年 | 砂田 直輝 | TBD |
学部4年 | 高木 優介 | TBD |
学部4年 | 中山 滉陽 | TBD |
学部4年 | 西巻 佑起 | TBD |
学部4年 | 福永 星哉 | TBD |
学部4年 | 横山 玲 | TBD |
2023年度(DS研第5期)卒業生
修士修1名 + 学部卒11名
区分 | 名前 | 研究テーマ | 概要 |
---|---|---|---|
修士修 | 永井 晃大 | PYNQ-Z1 ボードにおける FINN-L を利用した文字認識システムの開発 | |
学部卒 | 明石 大毅 | Web ブラウザ上で動作する波形ビューアの試作 | |
学部卒 | 安達 雄基 | MMCM を用いた真性乱数生成器の単一 IP 化に向けた検討 | |
学部卒 | 天野 雄太 | 初学者向けディジタル回路学習システムのプロトタイプ開発 | |
学部卒 | 伊藤 勇樹 | Web ベースの VHDL 演習環境のバックエンドの試作 | |
学部卒 | 小河 優冶 | TC-TERO による乱数生成の改善案 | |
学部卒 | 栗山 武大 | FINN を用いた AI ロボットカーの改良 | |
学部卒 | 近藤 快斗 | マルチ OS で動作する HDL 学習環境 | |
学部卒 | 瀬戸 大暉 | 出力ビット幅が増大しない AFE ストカスティック演算器の提案 | |
学部卒 | 三浦 彰人 | Red Pitaya を用いた可変ディジタルフィルタシステムの試作 | |
学部卒 | 八代 航輔 | FPGA を用いた TRNG の可視化システムの改良 | |
学部卒 | 吉川 恵立 | ディジタル回路の「さわれる」遠隔システムの遅延時間の測定と改善 |
指導方針
卒業研究
卒業研究は,おおむね以下のスケジュールに沿って行います.
- 4月~5月: おおまかなテーマを決め,環境を構築したり,基本技術を習得する.
- 6⽉〜7⽉: 具体的なテーマを決め,再現実験や基本的な実験を⾏う.
- (8⽉: 基本的には夏休みだが任意で作業を進めてもよい)
- 9⽉: 前期中の研究内容をまとめて中間発表を⾏い,今後の方針を確認する.
- 10〜11⽉: 卒論に向けた試⾏錯誤の連続.
- 12⽉: 卒論全体の⾻⼦(アウトライン)を書く.足りないデータ・実験が⾒えてくる.
- 1⽉: ⾜りないデータを補いつつ論⽂執筆や発表練習.
- 2月: 卒論完成,発表,提出.
ゼミは週1回で,毎回の進捗報告書の提出を義務とします.また前期の一部期間は,基礎知識の習得やプレゼンテーション練習のために輪講を行います.それ以外の期間は,いつ研究室に来て作業しても構いません(深夜・休日は推奨しませんが).自律的に計画を立て,毎週きっちり検討とデータを重ねて,目標に向けてコツコツと作業を積み重ねることを重視します.
卒業研究では,技術者として必要な知識,問題解決能力,プレゼンテーション能力,コミュニケーション能力を身につけることになっています(シラバスを読んでください).問題が解決できること,またそれをアピールするためには,何がまだ解決されていないのかを調べる調査技術,仮説と検証を繰り返すための実験実施技術,その成果を信頼性・正確性のある文章でまとめるための作文技術,短い時間で聴衆に成果を理解させるためのプレゼンテーション技術などが必要です.こうした技術は,研究テーマや分野にかかわらず共通で必要な,いわばメタ研究スキルとでも言うべきものです.そしてそれは同時に,社会人,エンジニアとして求められるスキルともかなり似ているのです.
そのため,ディジタルシステム研究室では,進学希望・就職希望にかかわらず,卒業研究ではこれらのスキルをしっかりと身につけるための訓練をしていきます.もちろん研究として成果が残せればベストですが,そうでなかったからといって必ずしも卒業研究の価値が損なわれるとは思いません(し,成績を下げることもしません).恐れることなく少しでも経験値を稼ぎましょう.
修士(博士前期)
修士の研究では,(上記の通り)研究のための基礎スキルがある程度身についていることを前提に,より時間をかけて1つのテーマを掘り下げていきます.が,まずは卒業研究と同様,最初の9ヶ月(修士1年の4月~12月)である程度のメドを立てることを目標にしていきます.授業の単位も取らないといけないのでそれなりに大変ですが,そこは両立が必要です.本専攻では修士1年の後期に中間発表を義務づけていますし,修士卒の就職活動では必然的に研究のことを聞かれる機会が増えますので,先手先手で進めることが大事です.
一旦研究にメドがついたら,その成果に合わせて外部発表の準備をすることを勧めます.標準的には学会主催の研究発表会,良い成果が出れば国際会議や論文誌を狙ってもよいでしょう(英語力が前提になりますが).
修士2年の前半は,それまでの成果をもとに更にアイディアを加えたり,データによる裏付けを強化したりして,研究の完成度を高めていく期間です.後半ではまたアウトラインから論文を組み立てて,足りないデータや実験を補いながら,修士論文・修論発表の準備を進めます.
修論では,分野の近い他の教員も審査に加わりますので,相応の質が求められます(ゼミでは気づかなかった説明不足・データ不足を指摘されることもあるでしょう).当然,それ相応の時間をかけなければ,質を高めることはできません.やはりここでもコツコツと研究に取り組み,作業を積み重ねていくことは大切なのです.
新型コロナウイルス感染症への対応
本研究室では,新型コロナウイルス感染症への対応として,主に以下の対応を行っています.
- Microsoft Teams を使用した連絡およびオンラインゼミ実施体制の整備
- 研究室の入室人数制限(感染拡大時)と,それに伴う遠隔・自宅作業環境の整備
- 乾燥防止のための大型加湿器や,飛沫飛散防止のためのパーティションの設置
幸いにして,本研究室での研究の多くは,適切な開発環境を整えれば自宅や遠隔環境でも実施可能です.状況に応じて自宅作業を認めるとともに,質問や相談にはチャットで随時対応する体制を取っています.
ゼミは対面とオンライン (Teams のビデオチャット) を併用して実施します.
アクセス
【おしらせ】 2024年4月より,本研究室のある建物の名称が「新2号館」から「2号館」に変更されました.当面は両方の表記が混在するかもしれませんが,ご容赦ください.
ディジタルシステム研究室は,愛知工業大学 八草キャンパス 2号館 611~612号室にあります.612号室が教員居室,611号室が研究室(学生居室)です.
学部3年の学生の研究室見学は,研究室配属前の見学期間中(通常11月)に行うことを原則とします.臨時の見学を希望する場合,学外や他の年次での見学を希望する場合は,メールで問い合わせてください.
配属の優先順位について
本研究室では,配属調整で所定の配属人数より希望者が多くなった場合は,以下の式で求めたスコアの大きい順で配属者を決定します.
- 3年次前期終了時点での GPA 0.01 につき1点(端数は四捨五入)
- 2EV「ディジタル回路1」「ディジタル回路2」3EV「計算機工学」の各科目の成績で,70点超80点までの1点につき1点,80点超の1点につき2点(1科目につき最大50点)
例えば,GPA が 2.50 で,「ディジタル回路1」で85点,「ディジタル回路2」で80点,「計算機工学」で75点を取っていた場合,スコアは 250 + 20 + 10 + 5 = 285 となります.
ただし,3年次編入学生は上記の全科目で,転専攻学生は 2EV の各科目で,それぞれ75点を取ったものとして計算します.