都市環境学科土木工学専攻の学習・教育目標
(2005.Apr.)
1.
専攻の教育理念
都市環境学科土木工学専攻では「中堅実務技術者」の育成を教育目標とする。“中堅”とは“社会または団体の中核となって活躍する人”を指し、ここでは官公庁・民間に関わらず組織や企業の中枢として活躍できる技術者を意識している。また、“技術者(engineer)”という呼称も幅広く使われるが、本専攻では主として実務に携わる技術者を対象とする。大学の教員や研究所の研究員のような教育・研究方面に活躍する技術者の育成も大学にとって重要な任務であるが、これは大学院教育を通じて今後とも積極的に進めることとし、学部の教育プログラムとしては、大多数(majority)の学生を対象として「中堅実務技術者」教育に主眼を置くこととする。
中堅実務技術者の育成を教育目標の核として、本専攻の教育プログラムは以下の3本の柱を教育目標の中心に据える。
1)人格の向上
・地球を愛し、資源を大切にし、人類の幸福・福祉や自然環境に深く興味を持ちながら、社会への貢献を日々思考する資質を養う。
・社会基盤整備に携わる技術者として、国及び地域社会へ奉仕する精神を持ち、かつ技術と自然との関わりや社会的責任を自覚できる資質を養う。
2)
専門知識の養成
・数学・自然科学を基礎とした土木の幅広い専門知識を養成する。
・環境・生態系や造形等のソフト技術、及び最新の情報技術に関連する知識を養成する。
3)
応用能力の育成
・柔軟な発想と創造力に基づいて専門知識を実務に応用し、問題解決する能力を育成する。
・成果を論理的に記述して発表・討議し、更に情報技術を用いて明示する能力を育成する。
2.
学習・教育目標
上記の教育目標を達成するために、以下の10項目の学習・教育目標を設定する。
(A)技術者としての社会貢献:地球規模の環境・資源・防災問題を理解し、人類の幸福・福祉とは何かを考え、国際的な視点に立って社会への貢献を日々思考する資質を養う。
(B)土木技術者としての社会奉仕:公共施設の企画・設計・建設に携わる者として、ボランティア活動の精神や地域の風土・歴史を理解し、公僕としての社会奉仕の資質を養う。
(C)技術者としての責任・倫理感:社会や自然に及ぼす技術の影響や効果を十分理解し、技術者としての責任や自覚を主張できる資質を養う。
(D)土木専門知識:数学・自然科学を含め、土木技術者として必要な幅広い専門知識を養う。
(E)環境・景観等ソフト面の知識:環境・生態系に深い知識を有し、かつ景観等の美的センスにも対応する、ハ−ドとソフトの両面を備えた技術能力を養う。
(F)情報技術:最新の情報技術に対する理解と、情報を収集整理・処理し、活用する能力を養う。
(G)創成・デザイン能力:自由で柔軟な発想と創造力に基づいて専門知識を実務に応用し、社会のニ−ズに沿って問題解決しながら具体的な形に仕上げる能力を養う。
(H)コミュ−ニケ−ション能力:論文・報告書等を論理的に記述・発表し、自己と相手の主張の相反・合致点を見出しながら討議・調整し、まとめ上げる能力を養う。
(I)マネジメント能力:業務の遂行に際し多方面の技術者と連携を図り、社会のニ−ズや技術の進歩に対し継続的にネットワ−クを構築して問題解決に当たる能力を養う。
(J)技術者としての自律心と継続学習能力:社会や時代の変化に対応できるよう、常に最新の技術・情報に目を向けて知識を吸収し、継続的・自律的に学習できる能力を養う。
3.jabee基準との対応
◎主体的に含んでいる項目 〇付随的に含んでいる項目
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‘(a) |
(b) |
(c) |
(d) |
(e) |
(f) |
(g) |
(h) |
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(1) |
(2) |
(3) |
(4) |
(5) |
(6) |
(7) |
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(A) |
◎ |
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〇 |
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〇 |
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(B) |
〇 |
〇 |
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〇 |
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(C) |
〇 |
◎ |
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〇 |
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(D) |
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◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
◎ |
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(E) |
〇 |
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〇 |
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(F) |
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◎ |
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(G) |
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〇 |
〇 |
◎ |
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◎ |
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〇 |
(H) |
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〇 |
〇 |
〇 |
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◎ |
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(I) |
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〇 |
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〇 |
◎ |
(J) |
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〇 |
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〇 |
〇 |
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◎ |
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Jabee基準(2004年度版/2001年度版から文言が若干変化しているが、実質的には同じ)
(a)地球的視点から多面的に物事を考える能力とその素養
(b)技術が社会や自然に及ぼす影響や効果、および技術者が社会に対して負っている責任に関する理解(技術者倫理)
(c)数学、自然科学および情報技術に関する知識とそれらを応用できる能力
(d)該当する分野の専門技術に関する知識とそれらを問題解決に応用できる能力
(1)応用数学
(2)自然科学(物理、化学、生物、地学のうち少なくとも1つ)の基礎
(3)土木工学の主要分野(土木材料・力学一般/構造工学・地震工学/地盤工学/水工水理学/交通工学・国土計画/土木環境システム)のうち、最低3分野
(4)土木工学の主要分野のうちの1分野以上において、実験を計画・遂行し、結果を正確に解析し、工学的に考察し、かつ説明する能力
(5)土木工学の主要分野のうちの1分野以上の演習を通して、自己学習の習慣、創造する能力、および問題を解決する能力
(6)土木工学の専門分野を総合する科目の履修により、土木工学の専門的な知識、技術を総動員して課題を探求し、組み立て、解決する能力
(7)以下に示す実務上の問題点と課題のうち、少なくとも1つを理解し、適切に対応する基礎的能力
・環境観を育み、持続可能な発展を支える知識や能力
・地域の特性、文化的・文明的意義を考慮し、説明責任への対応がとれたプロジェクト計画の構築能力
・価格、時間、品質、安全性、および調達などを総括した建設プロジェクトマネージメントの遂行能力
・広く土木に関連する専門的職業における実務に関する能力
(e)種々の科学、技術および情報を利用して社会の要求を解決するためのデザイン能力
(f)日本語による論理的な記述力、口頭発表力、討議等のコミュニケーション能力および国際的に通用するコミュニケーション基礎能力
(g)自主的、継続的に学習できる能力
(h)与えられた制約の下で計画的に仕事を進め、まとめる能力