ウェールズの銅採掘
地質時代の名とウェールズ
地質時代は地球に地殻が形成されてのち、主に海生動物の進化に基づいて
(1)先カンブリア時代(46億年前〜5億7500年前)
(2)古生代(5億7500年前〜2億4700年前)
(3)中生代(2億4700年前〜6500万年前)(a.三畳紀 b.ジュラ紀 c.白亜紀)
(4)新生代(6500万年前〜現代)(a.第三期 b.第四期)
に大別される。
古生代は(1)カンブリア紀 (2)オルドビス紀 (3)シルル(シルリア)紀 (4)デボン紀 (5)石炭紀 (6)二畳(ペルム)紀に分けられる。
カンブリア紀には無脊椎動物が現れ、三葉虫が栄えたが、先カンブリア時代、およびカンブリア紀の「カンブリア(Cambria)」とは実はウェールズの古称である。中世ウェールズ語Cymryをラテン語化し"an"を語尾に付けたものという。
オルドビス紀(Ordovician Period)はオウムガイの全盛期で、三葉虫や筆石が発展し甲冑魚が出現した。その時代の名となったオルドビス(Ordovices)とはウェールズの古代種族の名である。
オルドウィケス族とは、北ウェールズの勇猛なケルト人部族であり、ローマ軍はブリテン島に派遣された4軍団のうち、3つの軍団司令部をウェールズ国境付近に設営し、ウェールズの平定にあたった。シルレス族は、75年頃までには抵抗を止めていたが、オルドウィケス族はなおも抵抗を続けた。しかし、ローマの将軍ユリウス・フロンティウスと、その後任者ユリウス・アグリコラは、大殺戮をもってこれを征服した。
その次の地質学上の時代はシルル紀(Silurian period)、またはシルリア紀と呼ばれ、海では筆石、珊瑚、三葉虫が栄え、陸では下等なシダ類が出現した。このシルルも古代ウェールズの部族名であるシルレス族 (Silures) から来ている。
シルレス族は南東ウェールズのケルト人部族であり、43年頃ロチェスタ付近の戦いでローマ軍に敗れ、ウェールズに逃れたカラタクス(ウェールズでの名はカラドッグ)の懇請により、ローマ軍と戦う。カラタクスが捕虜となった後もローマ軍への抵抗を続け、51年頃にはローマ軍を打ち破ったが、75年頃までにはその抵抗運動は終わった。
このように、もっとも古い3つの地質学上の命名が、実はウェールズに密接に関わっているのである。