生 物 ・ 生 態 学
Biology and Ecology
1DD 前期 2単位 必修
1DS 前期 2単位 選択
授 業 内 容
概 要 人が建物、道路、橋、堤防など人工構造物を建設すると、
大気・水・岩石・動植物などから成る自然環境にさまざまな影響を与える。
近年、自然環境についての社会的な理解と評価が高まり、
技術者には自分がたずさわる事業が自然環境に与える影響について
基礎的な知識を持つことが求められている。
また、積極的に自然環境を再生しようとする事業も行われつつある。
この講義では、それらを理解するために必要な生態学の基礎、
さらにその基礎となる生物学の基本を解説する。(学習時間:23.5時間)
授 業 予 定
1回 授業の概要説明、原核生物・真核生物、植物・動物−細胞の基本的なつくりから生物を分類する。
2回 タンパク質−生物をつくる基本的な物質であるタンパク質とその構成要素であるアミノ酸について学ぶ。
3回 呼吸と光合成−生物とエネルギーとの関係を学び、化石燃料を大量に使うことの意味を考える。
4回 核酸−DNAとRNAの化学構造とその複製のしくみ、およびタンパク質を合成するしくみを学ぶ。
5回 有性生殖と遺伝−遺伝のしくみと遺伝子の多様性の重要性を学ぶ。
6回 個体・個体群・群集・生態系・分類群−生態学を学ぶために最低限必要な専門用語を解説する。
7回 群集の生産と食物網−太陽の光エネルギーをもとにした植物の生産と動物へのエネルギーの流れを解説する。
8回 河川の微地形の成因−砂州、瀬・淵など河川の微地形とその成因を学ぶ。
9回 河川の微地形と昆虫の生息場所−河川の微地形に対応した昆虫のすみわけを解説する。
10回 河川の微地形と魚の生息場所−魚種によるすみわけとアユの社会(群れアユとなわばりアユ)について学ぶ。
11回 河川での撹乱と生物−出水による破壊的な撹乱を好むケショウヤナギ、カワラノギクなどの生態を紹介する。
12回 魚の回遊−サケ、アユ、ウナギなどの海と川にまたがる回遊を学ぶ。
13回 干潟・藻場−内湾における陸から水域への移行帯(エコトーン)の重要性を指摘する。
14回 森林の遷移と撹乱−林では長年の間には樹種が交代するのに、人がそれを止めてきた里山の自然を紹介する。
15回 生物の地域差と地史−オサムシなど地域による差が顕著な生物と地質学的な歴史との関係を紹介する。
16回 定期試験
教科書 鈴木孝仁監修 「改訂版 視覚でとらえる フォトサイエンス 生物図録」 数研出版
参考書 授業中に多数紹介する。
学 習 到 達 目 標
1. 自然環境の成り立ちについて様々な時間スケール・空間スケールで考え、
自然を近視眼的・短絡的に見ない態度を身につける。
2. 人間活動による自然環境への広汎かつ多様な影響の一端を知り、
建設系の技術者にとって生態学の知識が重要であることを十分に認識する。
授業の方法と特徴
1. 要点をしぼったわかりやすい授業
毎回の授業の初めに「よくある誤解」と「ほんとうは」と題する二つの小文を示し、それをその回の要点としてその後具体例を示して解説する。
2. 理解の確認と復習
各回の授業の最後に用紙を配って簡単な質問をするので、その答を出席票に代えるとともに、
次回の授業で復習を兼ねて答の例を示す。さらにその用紙を使って自宅での再復習を課す。
この自宅での再復習は、確認のため予告なく再提出を求めるので、返却された質問用紙はそれまでの全回分を
整理して毎回授業に持参し、求められたらすぐに再提出できるようにしておく。
成績評価の方法
毎回の質問への答(4点×15回=60点)、レポート(6点×2回)、定期試験(28点)で評価する。
また、学外協働実習、研究室の行事、大学祭実行委員など自発的な活動に参加した者へ1時間1点程度、
最大5点まで加点する。また、欠席5回以上、あるいはレポート未提出の者は、失格(Q評価)とする。
クラブ活動の試合、忌引、病欠、交通事故などやむを得ない理由による欠席は、公欠扱いとし、
定期試験の際に、欠席した回の質問用紙に回答すれば、4点満点で採点し、得点に加える。
ただし、所定の書類や証拠となる書面を提出あるいは提示すること。
これに対して、4年生の就職活動に伴う欠席は公欠扱いとはしない。
教員からのメッセージ
1. 授業の最後に書いてもらう質問への答は、ていねいに書いてほしい。
自分が理解したことを人に誤解なく文章で伝えることは技術者としての基本である。
2. レポートの課題は、授業中に紹介する参考書を読み、内容を要約し、感想・意見を書くことであるが、
課題に選んだ本に限らず、他の本も進んで読んでほしい。
附属図書館にはたくさんの生物学および生態学の書籍が用意されている。
3. 授業予定の細かい変更など最新情報は、このページに掲載されるほか、
co-net.
にレポート課題など重要な指示を出すことが多いので見逃さないように。
4.授業内容が土木工学・建築学分野の学生を想定して組み立てられているので、
土木工学科・建築学科外からの受講は許可しない。
この科目と土木工学専攻の学習・教育目標との関係
(A)社会奉仕と国際貢献を思考する技術者の育成:【5%】
(B)技術者としての責任・倫理観の育成:【5%】
(C)実践的応用能力を目指した土木専門知識と技術の育成【5%】
(D)環境・生態系・情報技術等ソフト面の知識と技術の育成:【70%】
(E)柔軟な発想と創造力に基づく問題発見・解決能力の育成
(F)論理的思考を礎とするコミュニケ−ション能力の育成:【10%】
(G)技術者としての自主性と継続学習能力の育成:【5%】
学習・教育目標の達成度評価
定期試験、および毎回の授業での質問への答によって、目標(C):【土木専門知識の育成】および目標(D):【環境等の知識の育成】の達成度を評価する。また、毎回の授業での質問への答(記述式)が一定の水準を満たすことで、目標(F):【コミュニケーション能力の育成】が達成されたと考える。附属図書館を利用して、参考書を選び通読して一定の水準のレポートを書くことで、目標(G):【継続学習能力の育成】の達成度を評価する。目標(A):【社会奉仕思考の育成】および目標(B):【倫理観の育成】は、教材に含まれる新聞記事、およびレポート課題の参考書について、毎回の授業での記述式の答およびレポートに、社会奉仕および倫理観について記述することによって達成度を評価する。
2013年前期 成績
2014年前期 定期試験問題
2015年前期
2016年前期
2017年前期
2018年前期
2019年前期 レポート課題(生物学分野)、レポート課題(生態学分野)、答の例
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