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フェナレニルは非結合性軌道 (NBMO) を有する中性ラジカル分子であり、このNBMOの存在により一電子の酸化還元状態をとることができる。我々は水素結合型電荷移動錯体の開発を目的としてこのフェナレニルに水素結合が可能なアミノ基を三つ導入したトリス(アルキルアミノ)フェナレニリウムを分子設計した。[1] 水素結合が可能な二級アミンのNHを有しているだけでなく、アルキル基を変化させることによる結晶構造の制御も同時に考慮した分子設計となっている。またアミノ基によるカチオン種の安定化およびC3対称の維持などは言うまでもなく大きな役割を果たしている。
トリス(プロピルアミノ)フェナレニリウムのBF4塩は、BF4のフッ素原子とアルキルアミノ基のNHが水素結合により一次元鎖を構築している。[2] このBF4塩から複分解により得られたTCNQ錯体はIRより電荷移動度はほぼ1である。現在、TCNQ錯体のX線結晶構造解析及び各種アルキル誘導体の合成を行っている。
[1] トリスジメチルアミノフェナレニリウムの合成、結晶構造について: Staab H. A. et al. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1991, 30, 1030.
[2] Y. Morita et al. Synth. Met. 2003, 135-136, 617.
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