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プロトン−電子連動系/金属錯体系

研究目的

キノンサイクルやOECと呼ばれる酸素発生複合体などで見られるように、プロトンと電子の共役移動(PCET)は生体内のエネルギー変換過程に於いて重要な役割を果たす機構である。電気化学の分野に於いても、ハイドロキノンや[RuII(bpy)2(py)(OH2)]2+錯体など多くの化合物でPCET現象が確認されている。また、固体物性の分野に於いても、キンヒドロン錯体の高圧下における挙動はプロトンと電子の連動現象として説明がなされている。さらに最近の動向としてPCETをスイッチング機能と結びつける研究が盛んに行われており、プロトン−電子共役系は外場に柔軟に応答する機能性物質の創成に大きく貢献するものと思われる。研究の目的は水素結合型分子性金属錯体に於けるプロトンと電子の連動現象の機構解明と固体物性への応用であり、具体的にはプロトンの動的な移動(トンネル移動)が電気伝導性、磁性、および誘電性に与える影響を明らかにすることである。上述のキンヒドロン錯体は常圧では始状態にあるが、高圧下ではプロトンと電子が移動することにより、中性ラジカル相であるPET状態に相転移することが知られている(図1)。しかしながらキンヒドロン錯体がPET状態に転移するには非常に高圧の条件が必要となるため、より詳細な固体物性に関する知見を得ることが出来ない。本研究は、より温和な条件でPET状態が発現できる様な分子を探索することがfirst stepとなり、それには酸化還元電位やpKaを容易にコントロールできる金属錯体を用いることが必要となる。

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