愛知万博
2005年3月25日ー4月24日
鉄人2号を色んなところでデモしていたところ、大学から愛知万博に展示したらどうかとのお声がかかり、展示をする運びに。もともとは、”芋虫型レスキューロボットRebo”が展示される予定になっていたが、それと一緒に展示をすることになった。
鉄人2号だけでは寂しいので、万博のマスコットキャラクター”モリゾー”と”キッコロ”も作ることに。(モリゾーとキッコロは版権元に確認したところ、製作OKとのこと。)展示コンセプトは”来場者とのふれあい”。一方的な展示ではなくできるだけ来場者とのコミュニケーションができるようにして、楽しんでもらうことを考えて内容を検討。また、レスキューロボットと一緒に展示ということで、デモ内容もレスキューロボットとしての2足歩行ロボットの可能性を示す内容にした。
デモ内容
- 鉄人2号:音声認識を使用して、来場者に動かしてもらう
障害物の上によじ登る
階段の上り下り
坂の上り下り
- モリゾー:70cm級の巨大機体
ゆっくりした動きで、2足歩行等
カメラ搭載で、モリゾーの見ている景色を会場に流す
- キッコロ:風船を持ってピョンピョン跳ねて移動
本当は鉄人3号を展示予定だったが、ワールドレコーズで忙しくなってしまって結局製作が間に合わず、鉄人2号の出番となった。鉄人2号は新たにモーションを少し作るだけだったので比較的楽だったが、障害物として想定した腰近い高さの障害物によじ登るのに意外に苦戦。這い上がれても立ち上がるときに腕が外に出てしまうことが判明。結局色々考えた上、立ち上がる前に前転して中央付近まで行くことで、この問題は回避。この前転が、意外に来場者には受けが良く、結果的には良かったのですが。
モリゾーは手元にあまっていたHSR-5995TGを使用して新たに製作。最初市販のブラケットで製作し、ぬいぐるみをかぶせれば良いと簡単に考えていたが、市販のものは剛性が悪く、結局新たにブラケットも設計製作することに。また、ぬいぐるみは意外に重く、かぶせ方によってバランスが大きく変わるという難しさも。さらに、少し動かしているとサーボが熱ダレで特性が変わってしまい、予想以上に苦戦。
キッコロは軽快に跳ねながら動く動きをうまく再現するため、小型サーボモータのJR DS3401を使って風船で浮かせる方式を採用。ところが、こちらもぬいぐるみが意外に重く、また、500gほどの機体を浮かせるには風船の浮力は意外に小さいことが判明。14インチ級のアルミ風船にヘリウムをつめて浮かせようとしたところ、20個以上の風船が必要になり、会場に持ち込むには大きすぎるということで、最終的には断念することに。
ということで、鉄人2号とモリゾーでの展示となった。
場所は長久手会場”モリゾー・キッコロメッセ”。「モノづくりランドシンフォニア」というイベントにつくられた愛知工業大学のブース。場所的にはかなり奥まったところにあり、集客面ではかなり不利な場所にある。それでも多くの人が訪れてくれた。鉄人2号はかなり人気があり、デモの時間になると人だかりができた。ワールドレコーズを見て鉄人2号を知っている人も多く、”あ!テレビに出てたやつだ”といってよってくる子供たちも。中には感動して狂喜乱舞したり、写真を取りまくる子供や、鉄人の動作のまねをする子供も。鉄人2号を目当てに来てくれた人、デモの時間を聞いて再びその時間に来てくれる人、違う日に再び訪れてくれるリピーターも付きました。
デモは、最初はモリゾーからスタート。寝てるモリゾーに来場者が”モリゾー起きて”と呼びかけるとゆっくり起きてみんなにお辞儀。これだけでも来場者から”オー”と声が。また、モリゾーの見ている画像をモニターに流したのも楽しんでもらえ、モリゾーがみんなを見渡す動きをすると、来場者は”映ってるー”といって手を振ってました。
鉄人2号の音声認識での操作は、子供の順番待ちができることも。やっぱり自分の命令でロボットが動くというのは、子供にとってうれしいですね。命令はリストの紙を渡して、叫んでもらいました。来場者が一番良く選んだのが”飛べ!鉄人”という命令。ワールドレコーズでもやった、飛ぶまねをして最後に”ムリムリ”と手を横に振るモーションだったが、受けてもらえました。このモーションはテレビで見て知っている人も多く、自分で”ムリムリ”と言う人も。その次に多かったのが”逆立ちだ!鉄人”。”飛べ!鉄人”と同様できないと予想して命令する人も多かったのですが、ちゃんと逆立ちするのでびっくり。なかには”浴びせ蹴り”などリストに無い命令をリクエストする子供も。浴びせ蹴りは機体のダメージが大きいのでデモからは外していたんですが、せっかくのリクエストなのでやってしまいました(相手にされたモリゾー、ごめんなさい)。
会場内の騒音は音声認識には最悪。音楽はがんがん流れているし、他のブースでのマイクでのガイダンスも流れ、これ以上ないほどの悪条件でした。それでも男性の声は比較的認識率は良好でしたが、一番のお得意様の子供の声の認識にはかなり苦労しました。声の小さい子供や、何をいっているかわからないような子供も多く、認識率はあまりよくない状態。不特定多数の人の声の認識は、まだかなり改善が必要そうです。
おかげさまで、会場内でも我々のブースは注目度が高く、テレビ局、新聞社、雑誌社、ネット等多くのマスコミ等に取り上げていただきました。(テレビ東京のビジネスサテライトで取り上げられたときに、鉄人2号に張られた”愛知工業大学”の文字が大きく全国に流れたときはあせりましたが。万博では基本的に企業名を出すことはご法度なので、本当はこれはだめなんです。急いで翌日この文字を消しました。)
1ヶ月間という長丁場で、ロボットが持つか心配でしたが、何とか大丈夫でした。(HSR-5995TGの基盤焼損1回、初段ギヤの溶解1回、KRS-2350ICSの基盤焼損1回、間違えて乾電池を充電して煙が出たこと1回、その他断線多数)。本当に大変な1ヶ月間でしたが、多くの来場者に楽しんでもらい、楽しい1ヶ月間でした。万博に参加して本当に良かったです。
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愛知工業大学のブース
”森の研究所” |
大勢の人が来てくれました |
来場者には音声認識で操作してもらいました
(動画:WMVファイル1.9MB) |
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子供たちの笑顔・驚きの顔を見るのがうれしかったです |
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