バッテリー

 バッテリーに何を使うかも重要だ。最近はその容量/重量比の大きさからリチウムポリマー(Lipo)を使う人が多い。Lipoはニッケル水素(NiMH)に比べて内部インピーダンスが小さく、大電流を取れるのも大きな利点だ。これまで鉄人1号ではニッカドNiCd、鉄人2号ではNiMHを使ってきた。鉄人3号では軽くて大容量が取れるLipoを使用している。

バッテリーの特性比較
電圧 長所 短所
NiCd 1.2Vの整数倍 取り扱いが簡単
安い
容量/重量比がもっとも小さい
メモリー効果がある
NiMH 1.2Vの整数倍 NiCdより容量/重量比が大きい
安い
簡単に手に入る
LiPoより容量/重量比が小さい
内部抵抗が大きい
メモリー効果がある
LiPo 3.7Vの整数倍 容量/重量比がもっとも大きい
内部抵抗が小さい
メモリー効果が起こりにくい
取り扱いが難しい/危険
 
鉄人シリーズの電力源
モータ電源 CPU電源
鉄人1号
NiCd 6V 600mAh
鉄人2号
NiMH 6V(1.2V×5) 2400mAh

アルカリ乾電池 6V
鉄人3号
LiPo 7.4V 1250mAh 15C
合計 4個並列で5000mAhで使用

LiPo 7.4V 400mAh



 LipoはNiMHに比べて内部インピーダンスが小さく、大電流を取れるのも大きな利点だ。しかしながらLiPoは3.7Vの倍数しか取れないため、NiMH(1.2Vの整数倍)で少しでも電圧を稼いだ方が良いことも考えられる。そこで、実際鉄人3号を使ってLipoとNiMHのどちらがより電流がたくさん取れるか(瞬間的電圧降下が少ないか)を調べてみた。DSR8801の場合は、4-9Vがメーカー保障の電圧。Lipoの場合、7,4Vの上は11.1Vになるため、保障電圧をかなり超えてしまう。実際どこまで耐えられるか試したところ、15VでFETが破裂した。しかし、12V程度でも数分動かしているとモータがかなり加熱し壊れた。11.1VのLipoの場合満充電時は12Vを超えるのでちょっと怖い。NiMHの場合は、8.4VまでOKということになる。
  • Lipo(7.4V 2500mAh 15C)
  • NiMH(8.4V 2400mAh)
以下2V/div.。GNDは1目盛り目。
直立時 高負荷時
安定化電源(出力電圧8.4V)
ロボットのコネクタ部で計測
 
直立時 高負荷時
Lipo(7.4V) 満充電数分後
バッテリ出力端子で計測
 
直立時 高負荷時
NiMH(8.4V) 満充電数分後
バッテリ出力端子で計測
 
 安定化電源8.4Vに比べ、Lipo(7.4V)とNiMH(8.4V)では明らかにトルクが落ちた。Lipoでは6V以下まで電圧が落ちている。NiMHの場合さらに電圧降下が大きいが、元の電圧が高いので最低でも6.2V程度であった。
電圧の変動はロボットの不安定さを引き起こす。そこで、鉄人3号ではLiPoを使い、並列接続で5000mAhにすることにより電圧降下を小さくすることとした。