CDMA R-UIMローミング in グアム


 CDMAでも最近はGSMと同じようにICチップの採用が増えてきた。今回は、香港のHutchison Telecomの3-CDMAサービスのR-USIM方式携帯電話をグアムで使用したのでレポートする。


ICチップ:

 現在、携帯電話で使われているICチップには色々な名前のものがある。まず、それらをまとめてみよう。

SIM Subscriber Identity Module
GSM方式の携帯電話用のICチップ
UIM User Identity Module
SIMを機能拡張したICチップ
IMT-2000で決められている
U-SIM Universal UIM
UIMと同義
W-CDMA携帯で用いられることが多い呼び名
R-UIM Removable UIM
UIMと同義
CDMA2000携帯で用いられることが多い呼び名

U-SIMとR-UIMは呼び名が違うだけで、IMT-2000で決められた標準方式UIMであり、将来的にはUIMに対応するすべての方式の携帯電話が、カードを入れ替えるだけで同じ番号で利用できるようになるはず。R-UIMカードは香港のほかに中国や台湾等でも採用されており、また、auもR-UIM対応携帯の発売を予定している。今回のR-UIMは香港Hutchison Telecomのもの。3-CDMAというサービス名での契約。Hutchison Telecomには他に「3G」、「3-Dualband」といった名前のサービスがあり、こちらはWCDMAやGSMのサービスになっている。

Hutchison TelecomのICカード。左から
SIM(3-Dualband)、U-SIM(3G)、R-UIM(3-CDMA)

TCL1828:

  今回レポートするのはCDMA2000方式の携帯電話で、中国TCL製の「1828」。TCL1828の主な仕様は以下のようだ。モノクロ画面で非常にベーシックな機能しか持たない。通話とSMSという携帯電話本来の機能に絞ったシンプルな携帯電話だ。その分コンパクトで、持ち歩くには非常に良い。電源は100-240V対応だが、ソケットはイギリス式になっている。SMSの機能も持つ。(3-CDMAのサービスにはSMSも含まれている。ただし、グアムローミング中にはSMSは使用できなかった。)対応するネットワークは800MHz(日本を除く)のみのシングルバンド。1900MHzには対応していない。

TCL1828のスペック
ネットワーク cdma2000 1xMC 800MHz
重量 83g
大きさ 107mm x 43mm x 18mm
ディスプレー モノクロ
バッテリー 700mAh, Li-ion
通話時間 2.5-4時間
待ち受け時間 60-120時間
SMS SMS

TCL1828 フリップ式 R-UIMは裏のバッテリ
ーを外して入れる

 


グアムでローミング:

 3-CDMAがローミング契約を持つ国・地域は以下のよう。
  • Australia
  • Canada
  • China
  • Guam/Saipan
  • Israel
  • Japan
  • New Zeland
  • South Korea
  • Taiwan
  • Thailand
  • USA
CDMA自体が世界的にはマイナーなため対応国は多くは無いが、北米や韓国などでは普及しており、通話エリアが広い。これらの国へ行く人にはお勧めだ。

  今回、グアムでTCL1828を使用したところ、すぐにGuamcellのCDMAネットワークに接続された。アンテナは最大強度を示し、電波は良好。日本や香港との通話も安定していた。接続は自動的に行われ、接続キャリア名は画面には表示されない。ローミング中であることは、画面上部の"R"マークでわかる。また、前に述べたようにSMSは使用不可であった。発信は"+"での発信ではなく国際電話識別番号"011"をつける。料金はグアムの場合着信HK$15.13/分(約200円/分)、島内発信HK$3.13/分(約45円/分)、香港への発信HK$17.45/分(約250円/分)。

 ところで、日本のドコモやVodafoneもグアムとローミング契約がある。GSM携帯にこれらのキャリアのU-SIMを挿入し、同じように通話を試してみた。どちらもローミングキャリアであるHafatelのネットワークにすぐつながった。アンテナの強度も最大。しかしながら、安定性はあまりよくなかった。特に日本の携帯電話への通話がつながったりつながらなかったりした。また、発信も"+"発信でしかつながらなかったり、"011"発信でしかつながらなかったりと、信頼性は低かった。今回の旅行の最初は安定して使えていたのに、後半お盆時期で日本人が多くなってくるとともに安定性が悪くなったことから、ネットワークが混みだしたのが原因かもしれない。FOMAやVodafoneローミングの携帯電話を2台持っていって、身内で使おうとしても使えないことがあるかもしれないので注意が必要だ。
 ちなみに、FOMAやVodafoneのU-SIMをTCL1828に挿入しても、Guamcellのネットワークにつながった。ただし、Guamcellとのローミング契約は無いため、発信すると利用できない旨のアナウンスが流れた。また、3-DualbandサービスのSIMも挿してみたが、同じように接続できないとのアナウンスが流れた。さらに、これらのSIMカードの電話帳へもアクセスはできなかった。逆に3-CDMAのR-UIMをNOKIA7600や6650等のW-CDMA/GSM携帯に入れたところ、UIMとして認識はするものの携帯電話がフリーズしたり再起動したりした。どうもUIMでも互換性は取れていないようだ。

 なお、3-CDMAのサービスでは日本もローミングエリアになっており、auのネットワークが利用できる。ただし、同じ800MHz帯のバンドでも日本と他国では上りと下りの周波数が逆になってしまっている。そのため、通常は海外のCDMA携帯をそのまま日本に持ち込んで使うことはできない。周波数の切り替え機能を持つCDMA携帯が必要となる。


3-CDMAのR-USIMで
Guamcellのネットワークに接続
接続キャリア名は表示されない
発信は"011"を付けて
 

FOMA U-SIM + GSM携帯R520m
Hafatelに接続
Vodafone U-SIM +
GSM携帯801SA
Hafatelに接続

 


まとめ:

 CDMAネットワークは、グアムでは安定性が高かった。北米や韓国へ行く人にもお勧めだ。また、TCL1828はコンパクトで持ち運びが非常に楽だった。R-UIMの普及で、CDMAでも同じ番号で複数の携帯電話を使い分けることができるようになると、CDMAも面白くなってくる。さらにCDMA2000とW-CDMAキャリア相互のローミングもできるるようになるとき、真の携帯電話のグローバル化といえることに成るだろう。


協力:テレコム新宿店

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