FIA

学生
FIAを知っているか?
博士
国際自動車連盟なら知っています。
...何じゃそれは。わしは知らんぞ。

学生
F1だのパリダカだのの統轄機関ですよ? プレステ2ではFIA公認のF1ゲームまで出たんですよ?

博士
付き合いきれんな。FIAというのは「Flow Injection Analysis」の略で、日本語でもそのまま「フローインジェクション分析」と呼ぶ。今までにない、新しい手法じゃな。

学生
どこが新しいんですか?

博士
ならば、今までの分析ではどんな操作をしていた?

学生
ピペットで試薬を吸って、フラスコ振ってますけど...

博士
ふむ。ではその操作で、何か不便に思ったことはないかな?

学生
ピペットとかメスフラスコとかの取り扱いって結構難しいんですよね。ちょっとでも標線からずれたら失敗だし。あと、結構時間かかるのも気になりますね。

博士
その問題を解決したのがFIAだ。FIAなら化学分析の操作上の問題をほとんど全て解決することができる。

学生
それは画期的ですね。でも、どうやったらそんなことができるんですか?

博士
まず、試薬をテフロンチューブへ連続的に流す。次に、流れている試薬にサンプルを直接打ちこむ。するとサンプルは試薬溶液中に拡散し、反応する。テフロンチューブの長さは変わらないから、何回測定しても反応時間は常に同じじゃ。さらにサンプルループを使用してサンプルを打ちこむため、常に一定量のサンプルが完全な閉鎖系で反応する。

学生
なるほど、反応時間が一定なら時間による誤差は存在しませんね。それに、閉鎖系での反応なら異物混入の心配もない。

博士
テフロンチューブの直径はせいぜい0.5mm。つまり、必要とする試薬、サンプルはごく少量でいい。さらに、操作はサンプルを打ちこむだけだから特別な技術は何一つ必要ない。原理的に誤差が生じず、しかも操作は簡単。実に画期的な手法じゃ。

学生
繰り返し大量の測定をするときには便利ですね。

博士
そのとおり。検出システムさえ整えば化学の知識がなくても運用が可能という利点もあって、製品の品質管理、食品分析など、広い分野で利用、応用されておる。

学生
う〜ん、そんなにすごいシステムだったんですか。全然知らなかったなぁ。

博士
FIA法が提唱されてから四半世紀が経つが、まだまだマイナーな方法であることは否めん。しかし1989年には“フローインンジェクション分析方法通則”(JIS K0126-1989)が制定されるなど、FIAは着実に実社会に広まっておる。

学生
これからの発展が楽しみですね!