キレイな和音を作るためには・・・ <平均率・純正律講座>

 

ピアノでドミソの和音を弾いて、何かしっくりこないような経験をしたことはありませんか?

ピアノというのはド〜上のドまでを平均的に区切って音階を作っているので、ドからドの#、ドの#からレと上がるときに上がる幅はいつも同じになる。(1:1)

このことを平均律という。

平均律では、ド〜ドの1オクターブをそれぞれの半音階(12個)で割ったものなので、1÷120.0833333333・・・・・ と、割り切れない値になってしまっている。だから、和音を弾いたときに微妙ににごった音に聞こえるのだ。

吹奏楽では、平均律ではなく、純正律というものを使う。純正律とは簡単にいえばピアノでは出すことのできない完全に澄み切ったハーモニーを造るための微妙な調整を施した音律である。管弦楽器にしかできないこの音律も体験していない人には何が何だか分からないと思う。

 

これからは純正律を使ってキレイなハーモニーが作り出せるように頑張りましょう!!

さあ、ここからはもう一度和音のおさらい!

 

 

 

 

 


上の図のように、ドから出発した場合は、ドの音を第1音、レの音を第2音と言ったね!

ドミソは第1音、第3音、第5音から成り立っていることがわかる。ちなみに第1音のことを根音(主音)という。

一般的には、第3音は低く、第5音は高くというのが原則だが、それはなぜだろう・・・

 

根音/純正律[セント]

B

B

C

C#

D

E

E

F

F#

G

A

A

B

0

11.7

3.9

15.6

-13.7

-2.0

-9.8

2.0

13.7

-15.6

17.9

-11.7

B

-11.7

0

11.7

3.9

15.6

-13.7

-2.0

-9.8

2.0

13.7

-15.6

17.9

C

17.9

-11.7

0

11.7

3.9

15.6

-13.7

-2.0

-9.8

2.0

13.7

-15.6

C#

-15.6

17.9

-11.7

0

11.7

3.9

15.6

-13.7

-2.0

-9.8

2.0

13.7

D

13.7

-15.6

17.9

-11.7

0

11.7

3.9

15.6

-13.7

-2.0

-9.8

2.0

E

2.0

13.7

-15.6

17.9

-11.7

0

11.7

3.9

15.6

-13.7

-2.0

-9.8

E

-9.8

2.0

13.7

-15.6

17.9

-11.7

0

11.7

3.9

15.6

-13.7

-2.0

F

-2.0

-9.8

2.0

13.7

-15.6

17.9

-11.7

0

11.7

3.9

15.6

-13.7

F#

-13.7

-2.0

-9.8

2.0

13.7

-15.6

17.9

-11.7

0

11.7

3.9

15.6

G

15.6

-13.7

-2.0

-9.8

2.0

13.7

-15.6

17.9

-11.7

0

11.7

3.9

A

3.9

15.6

-13.7

-2.0

-9.8

2.0

13.7

-15.6

17.9

-11.7

0

11.7

A

11.7

3.9

15.6

-13.7

-2.0

-9.8

2.0

13.7

-15.6

17.9

-11.7

0

 

上の表はそれぞれの根音に対しての純正律を示したものである。単位は「セント」。

「セント」とは半音よりもっと狭い音程を表す単位のことであり、平均律の半音の音程をさらに100等分したものである。1セントの100個分が平均律の半音1個となり、1200個で1オクターブとなる。
つまり、オクターブ=平均律の半音12個=1200セントとなりますね。

ここで、いきなりこんな数字が並んだ表なんて出して!と思ったかもしれないが、実はこれは自然倍音の原理から純正律を計算したものである。倍音の理論については今回は省略する。

純正律でドミソを吹くときは、上の表に対応させていくと、ドが0、ミが−13.7、ソが2.0なのがわかる。

つまりこれは平均律からどれだけずれているかをあらわしている。(平均律はチューニングぴったり)

 

 

 

 

 

 

 

 


では、この純正律にしたがってファラドを出してみると、とてもキレイな音とは言えませんね!

それは、今回の場合、基準がド(C)だからである。

じゃあファラドはどうなのかというと、ファが根音、ドが5音、ラが3音であるように、ファが基準になっていることがわかる。

ここで、疑問が浮かんだ人はいない??ファラドってドファラとも直せるから基準はドじゃないのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


実はそうではない。ピアノをやっていた人は教えてもらったことがあると思うが、ドファラはファラドの転回系というものである。

ドミソの和音を楽譜上であらわすと下のようになる。

転回形

音符

下からの構成

基本形

根音、第3音、第5音

第1転回形

第3音、第5音、根音

第2転回形

第5音、根音、第3音

余談だが、合唱で大地讃唱という曲があると思うが、そのピアノ伴奏は、永遠と転回系を演奏している曲なので、楽譜を見る機会があったら是非見てほしい。

 

純正律のポイントは、「どの音が基準になっているか」である。

上で挙げたように、もし展開形の和音が出てきたら、元に戻す必要がある。

 

実はギターをやっている人はすぐにわかってしまう。ギターにはコードというものが存在して、それを弾くからである。

  C・・・ドミソ   F・・・ファラド   G・・・ソシレ

では、このコードをみんなにも知ってもらうために、下の表に和音の基本形(コード)を載せておく。

これが基本形になって、あとはこれらの展開系であることが多い。

コード

B

B

C

C#

D

E

E

F

F#

G

A

A

5音

F

F#

G

A

A

B

B

C

C#

D

E

E

3音

D

E

E

F

F#

G

A

A

B

B

C

C#

根音

B

B

C

C#

D

E

E

F

F#

G

A

A

この表を見るといつもやっているカデンツは、

    B♭ → E♭ → B♭ → F → B♭ のコードをやっていることになる。

したがって、

  1番の人は、B♭→B♭→B♭→AB♭ だから、ぴったり→高め→ぴったり→低め→ぴったり

  2番の人は、FGFFF     だから、高め→低め→高め→ぴったり→高め

  3番の人は、DE♭→DCD    だから、低め→ぴったり→低め→高め→低め

  4番の人は、B♭→EFFB♭   だから、ぴったり→ぴったり→高め→ぴったり→ぴったり

 

いつも何気なく吹いている音でも高めや低めに音をとることでキレイに聞こえるのだが、すべての音に気を遣っていると気がおかしくなりそうになるので、特に伸ばしの音などを中心に美しいハーモニーで演奏できるように頑張ろう!

 

この理論でいくと、マイナーコードは第3音を高めに取ればいいことがわかりますね!